#68 ツバメ

この時期に、もうツバメがいた。

いてもいいのかも知れないが、なんとなく初夏という印象がつよいので、思わず足を止めて見てしまった。
近所のスーパーの入口でのことである。

そういえば、と、毎年、このスーパーの入口に巣を掛けるツバメがいて、去年、ケータイでそれを写真に撮ったことを思い出した。

あのときのヒナが、おまえか?

そこに巣を造るつもりでいるらしい一羽のツバメを眺めながら思った。

何年前だったか、ツバメの面白い行動を見たことがある。
やはりスーパーの入口での事だったが、自動ドアの前で盛んにホバリングを繰り返すツバメがいた。
見ていると、そのうちセンサーがツバメを感知して、ドアが開き、ツバメは、そこからスゥーっと店内に入っていった。

いや中に入っても、おまえカネもってないだろ、
とかしょうもないことを思いながら見ていると、ツバメは慌てるように戻ってきて、閉じようとするドアのわずかな隙間から、スイ、っと抜け出て、また空へ高々と飛翔した。

おー、とその鮮やかさに見とれていたが、ツバメはそれで懲りたふうでもなく、また戻ってきて、ホバリングして、ドアを開け、スイ、っと中へ入る。 中の照明に群がっている小さな虫を喰っているのだと、そのうち解った。

鳥や動物が賢いのは知っているが、それにしても、自動ドアの前でのホバリングって…

おそらく、そこで羽ばたいたときに偶然ドアが開いた事が過去にあって、それを学習したものなのだろうが、

たいしたものだな、と感じ入った私であった。

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