4 August, 2023 08:02

細く開けた窓に
夏の青空が見える

遥か南の海には台風がいて
道に迷っている

これから何処へ向かうのか知らないが  
何処へいっても歓迎されないきみは

かわいそうだね

#103 11月の海

海へ行った。

〈いまはもう秋 誰もいない海〉という歌があったが、11月の海辺には、疎らではあるが、それなりに人が居た。

犬を連れて散歩する人、ウィンドサーフィンをする人、この時期にひとり黙々と泳ぐ人。

誰も誰を邪魔することなく、それぞれの海と静かに時を過ごしていた。

海はいいです。

いつ訪ねても。

*

#102 ススキ

近くの高原に友人とススキを見に行った。
毎年この時期になんとなく訪れる場所である。

とくに何があるという訳でもないが、小高い丘に上がると、山に囲まれた名も知らぬ村が見下ろせ、その斜面に無数のススキが風に揺れている、そんな風景を、この時期、なぜかふと見たくなる。

とくに時間を見計らって出掛けた訳ではなかったが、着くと、ちょうど山に陽が沈みかけている、そんな時間だった。
黄金色の夕日に染められて、ススキが波うつように揺れていた。
煙草に火をつけ、しばらくのあいだ、そんな風景をぼんやりと見ていた。

古い流行歌などで、ススキは儚(はかな)いものの象徴のように歌われたりするが、そして見ていると、確かに、風に弄ばれて揺れるススキは、いかにも弱く儚いものに見えたりもするが、

しかしこれが強さなのではないかと、風のなかでそんなことを思った。

風に吹かれるまま揺れるススキは、揺れることで、けして折れることはない。
風に立ちはだかることも、風を拒むこともなく、許された時間を、ただ、揺れつづけて生きている。

この強さが、俺には無かったな、

短くなった煙草を口にはこびながら、思った。

#101「夢のツヅキ」

夢のつづきは もう
消えてしまって
この手に残る 人生

こぼれた時間を 拾い集めたら
君に会えるかな あの頃の

ああ 今も 旅のなか
ああ 心は いつか還る風

君より素敵な 君を知ってる
此処より素敵な 場所で

ああ だけど 旅のなか
ああ 心は 通りすぎる風

ああ 心は いつか還る風

#100 「化粧おとして」

この歌は、21歳の頃につくった歌であります。
デザイン学校に通いながら、ファミレスのウェイターのバイトをやっていた頃のことであります。
その頃つきあっていたコの、湯上がりのスッピンの顔を見たとき、あ、イイナアと思い、そのイメージでつくりました。

その後、某レコード会社からデビューする事になったとき、この歌をデビュー曲に、という話も出るなか、「地味過ぎる」ということでお蔵入りになった歌です。ちなみに、その後決まったデビュー曲は、もっと地味でした。

それから四十数年が経ちますが、その間、この歌は折りにつけ、ずっと歌ってきた歌であります。

ライブハウスで、イベントホールで、市民会館で、わけのわからん温泉ホテルの演芸場で、あそこで、ここで、と、ずっと私と付き合ってきた歌であります。

過ぎていった一場面、一場面を、この歌を歌う度に思うのであります。

#99 「オールアローン」

と、そーゆーわけで「オールアローン」、歌い直してみマシタ。

こないだ起きぬけに歌ったやつは、歌詞をトばしていたのに気がついたので。
べつに誰が気にとめるわけでもないでしょうが、本人的にちゃんと歌っておきたかったもので。はい。

いやー、しかし、このブログもだらだらやっているうちに気がつけば#99まで来ましたね。
ちょうど一年くらいかな。
100まではやりたいと思っていたので、これでなんとか届きそうです。
べつに100でハイ、おわり、という訳でもないですが、私もイロイロ限界に来ている所がありまして、ま、それはいいですが、とりあえず100、いけそうでヨカッタ、ということであります。

最初の頃、#1から#80あたりまでは、物書き魂フル稼働で、「人間」というもの、或いは「人生」というもの、その人間が人生を紡いでいるこの「宇宙」というもの、そうした事を、けっこう真面目に、考え、考え、書いてきたつもりですが、6月頃にYouTube始めてからは、歌中心になってしまいました。

ま、根がシンガーですので、カンベンを。

「オールアローン」、好きな歌です。

#98 「東京イェスタデイ」


#97で東京でのバンド時代に触れたせいか、なんとなくこの歌も続けてここに上げたくなった。
二週間ほど前につくった歌である。
曲をつくるのは早いほうだと思うが、この歌は、まるで呼吸をひとつするように数分で出来た。テキトーと言えばテキトーであるが、聴いていると自分の二十代三十代の頃のふわふわした楽しさが思い出されて、珍しく自分で再生して聴き返したりしている。
サイコーの恋と、サイコーの仲間と、サイコーの青空の下でサイコーの夢をみた、そんな頃だったと思っている。脳内記憶美化装置がかなりハタライているのかも知れないが、なんにせよ、大切な懐かしさではある。

けっきょく僕達は、ジョン・レノンにもエルビスにもなれなかったが、ジョン・レノンもエルビスも、僕達にはなれなかった。
誰も誰かになる必要はない。
そういうことなんだろうと思う。

#97 「オールアローン」


この数年、だいたい睡眠は4時間ほどである。
いよいよ自律神経がコワれているのかと思う。
その浅い眠りの中で、東京時代のバンドの夢をみた。
夢のなかで、私はこの歌を歌っていた。

目が覚めて、なんだか無性に、この歌が歌いたくなった。
どうせなら記録しておこうと、携帯に向い、まだボンヤリする頭と声で歌ってみた。

この歌をつくったのは三十代の頃である。
それから三十年ほどが過ぎた今も、私は何の変化もなく、同じ座標で生きている。
時間は私にとって何なのだろうと、そんなことを考えた朝だった。

#96 「トゥ レディ」


レディ 俺の夜は
誰にも似てない
レディ 眠れないで
悪い夢をみてる

遠くひとつ
車の灯りが流れる
レディ こんな夜は
時が恋しいだけ

生きてきた全てを
星空に並べて
ひとつづつ 数えながら
夜に もたれている
レディ これが
俺のメロディ

レディ お前の
愛した この俺は
レディ もう何もない
男になったよ

上手く生きることや
ながく生きることは
もうあきらめて
ただ心の 音に気づいている
レディ これが
俺の メロディ

*

#96 「那珂川」


博多の盛り場を流れる那珂川という川があります。
若い頃、バンド仲間とよく行き来した川であります。
それから四十年という時が流れ、ふと夜の那珂川を目にしたときに、つくった歌であります。

    *

今夜の 涙は
街の風に 捨てちまいなよ

夜明けが また来る
あのビルの 向こうから

生きることは 数えること

幸せ 不幸せを 数えながら
両手いっぱいの夜明け
抱いて 帰ろう

誰かの 残した
夢のかけら 幾つも
ネオンの映る川に
あてもなく 揺れてる
明日のことを 尋ねても
応える人も居ない この街で
小さな肩を寄せあい
せめて歩こう

生きることは 数えること

幸せ 不幸せを 数えながら

両手いっぱいの夜明け
抱いて 帰ろう