#78 グリーンマイル

窓から町並みを眺めているうち、スティーブン・キングの「グリーンマイル」という小説を思い出した。

映画にもなったので知ってる人は多いと思うが、あのタイトルである「グリーンマイル」というのは、死刑囚が刑場へ向かう通路の事なのだと何かで読んだ。

アカデミー賞候補がレッドカーペットを歩くように、死刑囚は刑場に向かってグリーンの通路を往くのだとか。

実際にそれが緑色をしているのか、緑色というものを何かの象徴としたスラングなのか、よく知らないが、ただ、それを読んだ時、つまりは我々もまた、生まれた瞬間から死に向かって歩き始める、それぞれのグリーンマイルを往く囚人なんだなと、そんな事を思った。

だからどうしたという話でもなく、ただ思い出した事を書いてみたかっただけである。

いろんな人生があるが、所詮は「通路」なんだなと、夏を思わせる六月の日差しのなかで、ふとそう思っただけの事である。

行き止まりの通路なのか、何処かへ通じるドアの待つ通路なのか、それは知らないが、むしろそれを決めるのは、この通路を自分がどう歩くかという事なのかも知れない。

たかが野球、されど野球、と言ったのは江川だが、
たかが通路、されど通路、
そんな気はする。